モノの価値は、置かれる環境次第でよみがえる。
エコロクの企業理念は、「無価値から価値あるモノへ」。価値を失ったさまざまなモノ(ゴミと思われているモノ)に、再び価値を持たせ、活用の道を切り拓く。それが私たちの行っている事業です。
といっても、使えなくなった車や重機を溶かして鉄として再利用するといった、いわゆる「素材リサイクル」を行うスクラップ業者とは違います。私たちが主軸を置いているのは、モノをできる限り元の姿形のまま、新たな場所で活かせる道を見つける「リユース」です。
なぜなら、どんなモノであれ、価値があるか・無価値であるかの基準は、それが置かれた環境次第で変わるからです。例えば、子どもが小学校に上がった家庭にベビー用品があっても、それは無価値でしょう。しかし、子どもが生まれたばかりの家庭に譲られれば、大いに重宝されるはずです。また、免許を返納したお年寄りの家に自家用車が残っていても場所を取って邪魔なだけですが、中古車を欲しがる人は他所にいくらでもいます。
どこかで「もう要らない」と判断され、価値を失ったモノは、ゴミではなく、他の環境に置かれれば価値を取り戻せる「未利用資源」なのです。ですから私たちは、そういったモノたちをできる限り、再び輝ける場に移してあげたいと考えているのです。
高いポテンシャルを秘めているリユース事業。
もちろん、モノの形を変えて再利用する「素材リサイクル」も、循環型社会の実現のために必要不可欠な事業です。当社も、「このモノには素材リサイクルという道がベストだ」と判断したモノについては、提携するスクラップ業者に、しかるべく処置を依頼しています。ですが、形を変えずリユースできる可能性があるのなら、その道を選びます。そのほうがより省エネルギーになりますからね。モノのリユース率をできる限り拡大すること。それが循環型社会の理念に叶ったやり方であることは間違いないのです。
しかしながら、私たちのような業者が処理を任される未利用資源(業界内の一般的な呼び方でいうと「廃棄物」)のリユース率は、現在のところ、決して高くはありません。全体のほんの1~2割程度でしょう。8~9割は、良くて素材リサイクル、そうでなければ、ゴミとして埋められるか焼却炉行き。私たちは、その現状を変えたいのです。
例えば、完全に壊れて修理も不能な家電など。さすがに、分解や溶解で形を変えるしか、価値を取り戻す道はないはずだと思われるでしょうか? しかし、芸術の世界には「廃棄物アート」というジャンルがあります。そこでは、壊れた掃除機やテレビ、家具など、がらくたを寄せ集めて作ったオブジェが芸術作品として評価されています。1体に1千万円以上の値が付くこともあるのですよ!
「廃棄物アート」は少々奇抜な例かもしれませんが、このような新しいチャネル(経路)は、業界の枠を超えて広い視野を持てば、他にもいろいろ見つけられるはず。チャネル開拓の努力を業界全体で行っていけば、1~2割のリユース率を、3~4割、いやもっと高く、拡大していける余地はまだまだあるはずです。
ひとり勝ちは望まない。目指すのは業界全体の改革。
そもそも、なぜリユース率が低いのか。大きな要因として、業界内の情報不足があると私は考えています。多くの業者が、多彩なリユースを可能にするチャネルについての情報を知らない、知ろうとしていないのです。「廃棄物はゴミ。ゴミはそのまま利用するものではない」という凝り固まった価値観が業界に根付いていることも影響しているでしょう。
当社はリユースのチャネル開拓にリユースのチャネル開拓に力を注ぐという、ある意味“独自路線”を貫いております。その結果、国内のみならず海外(主に東南アジア)まで、多数のリユースネットワークを確立することができました。
また、企業理念をしっかりと共有した上で念入りな社員教育を行っているため、社員一人ひとりが、顧客先から引き取るモノ一つひとつに対して「これはリユースの道がある、これはスクラップ業者に回すべき、これは倉庫で一時保管して時期を待とう…」などと見極められる、“モノの目利き力”を備えていることも、当社の武器です。
業界の中では新参者ですが、車両・家具・衣類・家具その他あらゆるモノに、最適なネクストステージを見つけるために、最善を尽くせるノウハウがある会社だと自負しております。
そして私たちは、今日まで培ってきたネットワークもノウハウも、独占するつもりは一切ありません。なぜなら私たちの目的は、自社がひとり勝ちすることではなく、業界の常識を変えること。業界一丸となって、未来のための循環型社会を実現することなのですから。
ゴミという概念のない未来を創りたい。
実は日本は、あと30年もすれば、ゴミを埋めるための土地が足りなくなるといわれています。ですから、「モノがゴミになってしまうのを徹底的に回避する」ことは、社会の重要課題なのです。
例えば、当社がすでにネットワークを持っている東南アジア諸国において日本の家電等への信頼は根強いので、海外への中古品輸出ルートを拡大するのも有効な対策でしょう。しかし、ただ日本で不要になったモノを海外に回すだけで終わらせてはいけません。せっかく輸出しても、その国でモノのニーズがない、あるいはニーズがある場所にモノを配分する手段がないなどの要因で、まったく喜ばれない結果になってしまっては逆効果ですから。もちろんそれは国内でのやり取りの場合も同じです。
モノを手放す側・受け取る側ともにWin-Winの結果を導くよう、適切な段取りを踏むことが必要なのです。そのために当社が、情報提供や助言を行える、“業界のアドバイザー”的な役割を担う存在になれたら、と考えています。
そしていつか、世の中からゴミという概念をなくしたい。それが私たちエコロクの目指すところです。夢物語といわれるかもしれませんが、本気です。本気の志を持った会社こそが、業界全体を動かし、世界を変えていけるのだと信じています。
2023年8月
株式会社エコロク
代表取締役